Beautiful World

降っても晴れても

「いまの感覚に近い率直さ」

昨日に続き、朝日新聞朝刊に「私の好きな近江の君」が掲載。
「源氏物語の人々 2」は、『あさきゆめみし』でお馴染みの大和和紀。
コメディー的タッチを得意とする大和和紀のお気に入りは、近江の君です。
大和作品にも、ユーモアたっぷりの脇役たちが登場しますから納得。

貴公子たちの恋心を集める玉鬘と対照的に、こっけいな近江の君。
貴族社会の規範からは逸脱している近江の君は、でも存在感たっぷり。
「明石の尼君 明石の尼君」と念じてスゴロクに興じたり、
お姉さんの女御に、意味不明のおかしな和歌を贈ったりする。
「非常に私たちの感覚に近いです。」
光源氏世界の「まどろっこしい」部分に「突っ込みを入れたくなった」けれど、
「それを近江の君は代弁してくれています。」
大和和紀が描いた近江の君は、現代的な「ギャルっぽいイメージ」で、
「宮中の生活に我慢できず、庶民の生活に戻っていく」という創作を加えました。
そこから抜け出せない女たちの苦悩を描く物語において、
近江の君のその身軽な足どり、爽快な決断は、なんともおかしく、まぶしい。

「年老いた女性にも優しい」

朝日新聞の朝刊に、「私の好きな光源氏 源氏物語の人々1」なる記事。
「年老いた女性にも優しい」と題し、作家の田辺聖子さんの談。
「1」とあるからには、これから連載されていくのでしょう。

確かに、光源氏の魅力は、だれに対しても優しいところ。
まちがって関係をもってしまった相手にも、落胆しつつも優しいのです。
田辺さんが注目するのは、葵の上の母大宮などにも優しいこと。
「おばあちゃん子」だったせいかもしれない、とします。
その情愛の深さゆえに、長編物語の主人公になりえたと言えます。

そういえば、源氏物語の登場人物たちには、「おばあちゃん子」が多い。
光源氏、紫の上、夕霧、雲居雁、匂宮、女一の宮……。
花散里も、夕霧の姫君を引き取って世話を焼いていたりするし。
子どもたちの養育に生きがいを見つけていく女たち、それが問題です。

登場人物の性格設定の細やかさ、それじたいが千年の生命の息吹です。

『あさきゆめみし』アニメ化

大和和紀『あさきゆめみし』(講談社)のアニメ化決定は、サプライズ!
しかも『ハチクロ』などをアニメ化した、あの「ノイタミナ」枠なら尚更。
来年の1月から、全11話で深夜に放送とのこと。
全11話ならば、ダイジェストなのか、途中までなのか。
光源氏や紫の上の声、しぐさは、どんなふうに描かれるのでしょうか。
「源氏物語千年紀記念アニメ作品」と銘打たれています。

あさきゆめみし 9 完全版 (9) (KCデラックス) (KCデラックス)あさきゆめみし 9 完全版 (9) (KCデラックス) (KCデラックス)
(2008/07/25)
大和 和紀

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以前のインタビューでは、作者はアニメ化に消極的で断ったこともある、と。
アニメ技術が進化し、「ノイタミナ」の評価が高いことも影響あるのかな。
放送後にはDVDにもなるだろうし、私は素直に楽しみです。
源氏物語千年紀が終わっても、『あさきゆめみし』の話題は続きそう。

すでに立ち上がった公式サイトには、横浜美術館にもリンクされていました。
http://asakiyumemishi-anime.com/

『とはずがたり』3

いつも斜め読みの美桜せりな『とはずがたり』の、第3巻です。
「ちょっとHな古典」がコンセプト、第3巻で完結しました。

とはずがたり 3 (3) (フラワーコミックス)とはずがたり 3 (3) (フラワーコミックス)
(2008/08/26)
美桜 せりな

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う〜ん、やはり中途半端な気がしてなりません。
ラストは、『とはずがたり』を記しながら、これを読んだ人は、
自分を「ひどい女」と思うだろうか、「かわいそうな女」と思うだろうか、
と、二条が自問自答して終わります。

後深草院が亡くなって裸足で葬列を追いかける場面は、描かれません。
海野つなみ『後宮』(講談社)は、やはりそこが最後のクライマックスでした。
美桜せりなは、その他にも色々と重要な出来事を省略していますが、
少女漫画として、主人公が初老の尼というのは「ビジュアル的」に困るので、
よいかげんに最終巻にした、というコメントがありました。
連載媒体の読者層の問題も、あるのでしょうか。
それにしても、最大の名場面を割愛してしまっていて残念です。
まあ、Hな場面ではないので、描く必要性がなかったのかもしれません。

『恋ひうた』

和泉式部を描いた、力作の少女漫画です。
日記の漫画化ではなく、和泉式部の伝記的描き方で、
紫式部や、道長、彰子が登場しています。

恋ひうた 1―和泉式部異聞 (1) (フラワーコミックス)恋ひうた 1―和泉式部異聞 (1) (フラワーコミックス)
(2008/07/10)
江平 洋巳

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「キャンセル」などというカタカナ語も、あまり気になりません。
紫式部は、和泉式部に対し、才能を生かしていい和歌を作ればいい、
そうすれば、人々はあなたを求めるようになる、と諭します。

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