2007
08.31

『菩提樹』

Category: 少女漫画
少女小説を代表する『あしながおじさん』は、ラブストーリー。
ジュディは最後、それと知らず恋していた「おじさま」と結ばれます。
親しまれている『あしながおじさん』は、その魅力的なモチーフが、
日本の少女漫画にも、その骨格が翻案されています。

水木杏子原作の、いがらしゆみこ『キャンディ・キャンディ』では、
孤児のキャンディが「大おじさま」の養女になり、寄宿学校に入学し、
アンソニーの死や、テリーとの別れなどを経て、
実は、大おじさま=アルバートさん=初恋の丘の上の王子さまであった、
という結末で、大枠は『あしながおじさん』に拠っていました。

そして、大和和紀の『菩提樹』も、まさに『あしながおじさん』。

菩提樹 (1) 菩提樹 (1)
大和 和紀 (1998/08)
講談社

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主人公の麻美は、「あしながおじさん」の援助を受け、
医大に進学して医師を目指しつつ、大学の早坂先生に恋心を抱きます。
実は、その早坂先生=「あしながおじさん」だったわけですが、
さらに、麻美から両親を奪った交通事故の相手でもあったのでした。
葛藤を抑えきれない麻美、罪の意識を持ち続けてきた早坂先生も、
末期ガンの早坂先生の死を前に、お互いの愛を確認します。
再び医学を志し、死と闘う医師になる決意を新たにした麻美には、
ずっと彼女を見守り、支えてきた森次くんという存在が待っています。
『あしながおじさん』を利用した、変形ヴァージョンです。

「あしながおじさん」は、世の女の子の理想の結婚相手かもしれない。
大人の男性で、経済力もあり、夢を応援してくれる。
恋愛と経済的援助をまるごと引き受けてくれるんだから、都合いい。
私のまわりの女の子は、本気でそういう男性を求める傾向がありますね。
というより、それが当然、といった風情です……。
でも、ジュディは作家になり、キャンディは看護婦、麻美は医師、
主人公たちは、しっかり自立もしていました。
尤も、『続あしながおじさん』では、資産家夫人となったジュディが、
作家活動をしているような様子は垣間見られません。
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