2008
09.30

紫の上の立場、明石の君の役割

雑誌『ダ・ヴィンチ』の9月号に、大和和紀『あさきゆめみし』の宣伝。
カラー1ページだけですが、なかなか内容は濃いのです。
源氏物語千年紀に「敬意」をはらい、当時のカラーページを120ページ収録、
タイトルロゴに英字も加え、装丁も新しく再登場したのだから当然。

作者みずから、光源氏と彼ををとりまく6人の女たちに、コメントを寄せています。
興味深かったのは、紫の上に対するコメントでした。

 死ぬまで現役の「恋人」としてのみ、源氏と相対さなければならなかったのは、
 女としては大変なことだと思う……。
 (大和和紀)

これが、明石の君の紫の上評につながっていく、紫の上観なのでしょう。

 「……あのかたは……ご自身の愛を剣に 殿の愛を盾に戦っていらした……
 ……わたくしにはそう思えてならないのでございます」
 (完全版/第8巻)

あさきゆめみし 8 完全版 (8) (KCデラックス) (KCデラックス)あさきゆめみし 8 完全版 (8) (KCデラックス) (KCデラックス)
(2008/07/25)
大和 和紀

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明石の君にこの視点をもたせたことが、『あさきゆめみし』成功の所以。
そう思うくらい、自問自答しつつ息絶える紫の上の最期と同じくらいにまで、
明石の君のこの発言は、胸を打つものだと思っています。
この見方ができる位置に下がっている明石の君の、その謙虚さを思いながら。
そう、光源氏の死を覚るのも、明石の君ならではの役割でした。
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