2012
06.29

『それもまたちいさな光』

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読み終えるのに数週間をかけてしまったのは、何故かしら。
角田光代『それもまたちいさな光』(文春文庫、2012年)は、わりと薄い文庫本なのに。
ここのところ、私的な読書に集中できるような環境ではなかったからか。
おそらく、恋愛小説が苦手なためでもあったでしょう。
平凡な日常に「ちいさな光」を見出せたら、そんなに幸福なことはない。

それもまたちいさな光 (文春文庫)それもまたちいさな光 (文春文庫)
(2012/05/10)
角田 光代

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本作は、TBS開局60周年記念のラジオ小説で、昨年、ラジオドラマ化されたとか。
なるほど、ラジオ、ラジオのパーソナリティーがキーになったストーリー。

共感できたのは、「私は間違ってないブーム」です。
主人公の仁絵は、28歳のころ、しんどい恋愛をしていたときに味わったらしい。

 たしかに自分も呪文のようにくり返していた気がする。
 私は間違っていない。間違ったと思いたくないからくり返すのだ。
 つまり、間違っているとうすうすわかっているということだ。
 (角田光代『それもまたちいさな光』文春文庫、2012年) 

私にもあったかもしれないな、「私は間違ってないブーム」。
鈍感で怠惰な私は、うすうすわかってもいない状況で、自分に言い聞かせていたかも。
これでいい、もう引き返すところなんてないのだからって。
そう念じ続けているうちに、忙しくなって、それも考えなくなって。
挙げ句の果てには、そんな葛藤も忘れて、それで現在に至っているような気がします。
結局、そんなふうに消化してしまえるような問題だったということかな。

う~ん、角田光代といえば、あの『八日目の蝉』が圧巻だったので、
その期待値からすると、物足りなく感じてしまいました。
描いている世界がちがうから、どちらが優れているとか、そういう比較ではなく。
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