2013
12.30

『わかむらさき』

Category: 少女漫画
池野恋/黒方薫『わかむらさき』(集英社、2013年)は、「紫式部」になる以前のお話。
藤原香子は16歳、作家を目指して物語を書いているけれど、まだ幼い少女。

わかむらさき (りぼんマスコットコミックス クッキー)わかむらさき (りぼんマスコットコミックス クッキー)
(2013/08/09)
池野 恋

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「後朝の文」のことも知らない香子、彼女にご執心の藤原道長との恋もなかなか発展しない。
藤原道長の従者として「惟光」が登場したり、和泉式部や清少納言が出てきたり。
藤原道長と甥の伊周が香子をめぐって弓の争いをしたり、雀を飼うとか、
あちらこちらに古典文学のエピソードが散りばめられていて、面白いと思います。

余談
大河ドラマ「八重の桜 総集編」の第二夜、新島襄のシーンが少なかった気がする。
あれでは、新島襄の大学設立の戦いがわからない。
尚之助さまの大事なシーンは、すべて入っていたと思います。
「んだなし」とか、「女がいるぞ」とか、「あなたは、新しいときを生きる人だ」。
八重の第二の人生をともに生きたのは新島襄だったけれど、生きる力を与えたのは尚之助。
時折、本編と順番が逆になってまとめられている出来事があった。
本編では、八重と新島襄の出会いが尚之助の生前(死の日付が変更)でしたが、
今日の総集編では、尚之助の死の後に新島襄が登場する構成。
もちろん場面がカットされているだけですが、印象がずいぶんと異なる。
会津に帰郷して、角場跡を発見するところがなかったのは残念。
胸に迫ったのは、神保雪に脇差を与えた、土佐藩の吉松速之助の言葉。
「三途の川を渡るときは、誰それの妻と、堂々と名乗りや」
最後、八重が空に向けて空砲を放ち、暗雲を晴らす。
全編を通して、日差しの当て方の演出に意味があったのかもしれない。
そう考えれば、尚之助さまが、明るい日差しの入るところを避け、
日の当たらない場所で「会津戦記」を書いて絶命した場面も、計算されていたことに。
明るい光を見出すために、尚之助さまも命を削るように書き続けたのだから。
八重が新島襄といっしょに大事な人たちの死を乗り越えるときに、降り注ぐ夕日の光も。
どういう場面で、だれに光が当たっていたのか、見直してみたい。
脚本に対する批判もあったけれど、キャスティングはまちがいなく満点だった。
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