2014
07.31

『海街diary6 四月になれば彼女は』

Category: 少女漫画
映画化も決定した、吉田秋生『海街diary6 四月になれば彼女は』(小学館、2014年)。
いつもながら、各回のタイトルがどれも素敵です。
今回は、すずの金沢の親戚たちが登場。
「こんなはずじゃなかった」ということが、誰の人生でも起こる。
そんな中で、佳乃は坂下課長に恋。
「あなたにも こんなはずじゃなかったってことがあったんですか?」
坂下課長が都市銀行から小さな信用金庫に転職してきた、その理由はまだ謎。

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(2014/07/10)
吉田 秋生

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そして、すずには、静岡の学校から特待生進学の話。
そうなれば、鎌倉を離れることになる。
異母姉たちと暮らすことを即決したすずなのに、それは決断できない。

 ぼくもです
 銀行に辞表を出した時 ぼくもまったく迷わなかった。
 書いたその日に提出しました
 だから わかるんです
 その時 すずちゃんも選択の余地がなかったんだなって
 でも今は迷ってるんでしょ?
 安心して 進路について悩める場所が 今すずちゃんにはあるんですよ
 やっと見つけた居場所から出て行くことに不安があるんじゃないかな
 悩んだり立ち止まったりできる場所が 今はある
 それは決してなくならない それがわかれば きっとまた前に進めます
 (吉田秋生『海街diary6 四月になれば彼女は』小学館、2014年)

坂下課長の解釈になるほど、安心して悩める、というのは新しい視点。
決断する、というとポジティヴな印象だけれど、ほかに選択できなかった場合もある。
すずが肩身の狭い思いをしているなら引き取ろう、十和子はそう考えていた。
「この子はお姉さんたちといっしょにしっかり生きてる」
そう感じて、「身勝手な取り越し苦労なんかお呼びじゃなかった」と思ったように、
異母姉たちと暮らす生活は、安心して悩める、地に足のついた日々なのだと思います。

余談
関東大震災、大森の自宅付近の被害はそれほどでもなかったけれど、倒壊や火事。
新居を構えてから、近所の子どもたちの描写が増えてきましたが、
家庭図書館の開設にもつながる、子どもたちの保護、花子の童話語り。
これをきっかけに、村岡平祐も、花子の仕事へ理解を抱くようになっていくのでしょう。
夜、英治が銀座からやっとのことで帰宅、でも、かよや郁弥の安否はわからない。
カフェー・ドミンゴのあたりは、あちこちで火災が発生して探せなかった。
一方、葉山家では、乳母も逃げ、使用人たちは金目のものを持ち逃げしていない。
そこへ、龍一が迎えにやってくる。
白蓮が関東大震災の混乱をきっかけに自由になったのは、事実。
窓の外に光がいっぱい、このドラマでは愛の逃避行でありつつ、駆け落ちは夢。
そして、英治がかよを連れて戻ってくる。
かよの両手にあるものは?
花子が怯える子どもたちに語り聞かせたのは、「ナミダさん」。
大正15(1926)年に青蘭社からはじめて刊行した、童話集『紅い薔薇』に所収。
『村岡花子童話集  たんぽぽの目』(河出書房新社、2014年)で読めます。
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