“共感”できなくてもいい

私は、番組を残念ながら見ていないのですが、記事によれば、興味深い。
稲垣吾郎さんが司会の読書バラエティー、「ゴロウ・デラックス」に、
5月19日、お笑い芸人で作家のピース・又吉直樹さんがゲスト出演をしたそう。
又吉直樹さんは、『劇場』(新潮社)を刊行したばかり。
そちらもまだ読んでいませんが、以下の番組内容が気になりました。

 そして稲垣さんは「こんなにも主人公のことを嫌いになったり、
 好きになる小説ってあまりない。
 これも又吉さんの仕掛けなのかな」と感想を述べる。
 稲垣さんが感じたように『劇場』の主人公の永田はいわばダメ男。
 収入の少ない永田は、沙希の部屋に転がり込み光熱費も払わない。
 劇団の脚本でも評価が上がらず、ヒモ同然の暮らしを送る永田。
 その焦りからか他の劇団や友人に対しても嫉妬が募り、
 沙希や周囲の人にあたってしまうことも。
 稲垣さんは「ずっと主人公のことを好きじゃなくてもいいんですよね」
 と主人公の言動に振り回されたと語りながらも、又吉さんの試みを評価した。
 それを受け又吉さんは「共感されにくい人物を描きたかった」
 と主人公に込めた意図を語りだした。
 又吉さんは、ある作品に対する評価として
 “共感できた”イコール“面白い”とされることが多い
 と世間の傾向を推測してみせる。
 しかし又吉さんはそこに疑問を感じ
 「実は共感できなくても何かしら感じるものがあるんじゃないか、
 その辺を描いてみた」と人物造形に込めた思惑を明かした。
 (「Book Bang」Book Bang編集部、2017年5月20日)

これは、小説だけでなく、ドラマや映画を見る場合にも、当然同じこと。
不倫ドラマに対して、ヒロインの人物造型にバッシングめいた反応があったり。
最近、小説を読んだり、ドラマを見たり、古典文学を読むときでさえ、
道徳や倫理で良し悪しを判断し、拒絶しているケースを見かけます。
でも、ストーリーは道徳教材ではありません。
ストーリーには、テーマや主題があり、伝えたいことがある。
登場人物は、品行方正な人ばかりであるはずはないし、失敗もまちがいもする。
「共感」できれば、感情移入して、より楽しめるのも事実でしょう。
でも、又吉直樹さんが言うように、「共感」だけが評価基準ではない。
「“共感できた”イコール“面白い”」という考え方に、捉われすぎているのでは?
又吉直樹さんは書き手として問題提起されましたが、読み手の問題でもあります。

Tag:本 

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