お稲=みねの急逝

徳冨蘆花「黒い眼と茶色の目」、敬二=徳冨蘆花が見舞わないまま、
出産したばかりのお稲=みねが亡くなったと知らせを受け、動揺します。

 三日目の朝、敬二が食堂から出て來ると、
 食堂前の井戸端で顏を洗つて居た江見の太郎さんが、
 顋髯から雫の滴るゝ顏を上げて、
 『おい得能、お稲さんが死んだぞ』
 『なに? 死んだ?ーー何時?』敬二は立すくむだ。
 『昨夜十二時だつたさうだ。今病院から知らせが來た』
 『さうか。ーーぢや直ぐ往かう』
 『絲入縞の羽織に着更えて、江見君と病院に往つた。
 扉があいて黄ろい死人の様な顏の人が出て來た。
 それは叔母さんであつた。
 東京で女の初産を世話して、京都に歸る早々媳の難産、
 産後の介抱に晝夜一睡もせず精魂をつかひ切つて居たのである。
 (『徳冨蘆花集 第11巻』日本図書センター、1999年)

お稲=みねの死を知らせたのは、江見の太郎=海老名弾正の弟の一郎。
又雄=横井時雄の母(横井津世子)は、その彼に嫁いだ娘、
お美枝=みや子の初産のために上京していて、ようやく戻ったところです。
長男に跡継ぎとなる男の子が生まれたという喜びも束の間、悲劇が起こりました。
節ちゃん=悦子と生まれたばかりの赤ん坊を残して、みなの看病の甲斐もなく、
まだ若いお稲=みねが、父の勝馬=山本覚馬よりも先に急逝したのです。

Tag:山本久栄 

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