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亡骸の番人

徳冨蘆花「黒い眼と茶色の目」、お稲=みねの急死に、
ずっと看病をしていた叔母、飯島の夫人=新島八重もショックを受けました。

 眼を泣き腫らした飯島の夫人が通りざまに敬二を見かへり、
 『敬さん、お稲がね、敬さん敬さんつて呼びましたよ』
 『さうでしたか、私はまた一月も逢ひませんでした』
 愚な返事の外に敬二は言ふすべを知らなかつた。
 日が暮るゝと、江見君が宰領で
 病院から窃と御苑を通つてお稲さんの柩を舁いて來た。
 寒冷紗で掩ふた柩の前に、又雄さんをはじめ一同集つて祈禱讃美をした。
 實子が無いので本當の女の様にして居た姪に死なれて、
 其亡骸の番人でゝもあるやうに
 柩を背にして正面に一人坐つた飯島の夫人は、
 脂ぎつた赤い顏に流るゝ涙を拭きもせず、
 やけになつた様な大聲に讃美歌を歌ふた。
 家族の女達の中に壽代さんの時々手巾を眼にあてる姿も見えた。
 (『徳冨蘆花集 第11巻』日本図書センター、1999年)

息を引き取る前のお稲=みねが「敬さん」と呼ぶほどに、親しく感じていたのか。
それなのに、敬二=徳冨蘆花は一ケ月も会っていなかったし、
又雄=横井(伊勢)時雄に「弔詞」も伝えられていないという、真の悪さ。
江見=海老名一郎(弾正の弟)の「宰領」で、お稲=みねの柩が戻ってくる。
集まった家族たちの中には、異母妹の壽代=久栄も当然いました。
飯島の夫人=新島八重の様子には、なんとなく悪意が感じられてしまいます。
看病疲れで身なりに気をかけていないのでしょうが、「脂ぎつた赤い顏」、
讃美歌を「やけになつた様な大聲」で歌う、というだけでなく、
「其亡骸の番人でゝもあるやうに柩を背にして正面に一人坐つた」とは、
一族の代表であろうとするような、傍若無人さを表しているかのようでしょう。
この小説においては、新島八重は憎まれ役です。

余談
「西郷どん」、斉彬公は、いつも手紙をくれる西郷吉之助を捜そうとして相撲を?
自分が藩主だからといって手加減をする男かどうか、試したのかしら?
そして、うっかり藩主に勝ってしまうような西郷に、
島津家のために生き、胸の内を偽らなければならない篤姫が惹かれるのか。

Tag:山本久栄 

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