ミスコンの日と末弘ヒロ子

さて、3月5日は、「ミスコンの日」なのだそうです。
日本初の「ミスコン」とされるのは、アメリカの新聞『シカゴ・トリビューン』企画の、
世界美人コンテストに乗り、時事新報社が「美人」を募集したもの。
明治41(1908)年3月5日付の『時事新報』が、5面から6面にかけて大きく、
「美人写真第二次審査」(最終審査)結果を報じたことで、今日は「ミスコンの日」。
紙面中央には、一等に選ばれた、16歳の末弘ヒロ子の写真を掲載。
二等は19歳の金田ケン子、三等はやはり19歳の土屋ノブ子。

末弘ヒロ子は、小倉市長の末弘直方の娘。
満年齢ではまだ15歳、学習院女子部の中等科3年生でした。
父親の末弘直方は、薩摩藩の出身で、警視庁にいた明治10(1877)年1月、
西郷隆盛らの動向を探索中、私学校党に捕えられ、西南戦争の遠因となったとか。
しかし、日本初の「ミスコン」の女王となったために、末弘ヒロ子は放校処分に。
良家の令嬢が美貌を争う、ということが許されなかったのでしょう。

 ヒロ子が自分でこのコンテストに応募したのではなかった。
 彼女の姉の夫が江崎写真店の店主で、
 ヒロ子はよくその写真館で写真を撮ってもらっていた。
 その義理の兄が、よく写っているから『時事新報』に送ろうと言い出したのだが、
 ヒロ子はそれを断ったという。
 ところが、義兄が勝手に応募してしまったというのである。
 この美人コンテストが実施されたのは、
 乃木希典が学習院院長に就任した一九〇七年で、
 末弘ヒロ子が一等に選ばれたのは翌年の三月だった。
 時期が悪かったというべきだろう。
 なんと学習院は、ヒロ子を放校処分にしてしまうのだ。
 大学でもミスコンテストが花盛りの現在では、理解しがたいことだが、
 百年前の一九〇八年にはこんな事件が起こっていた。
 『時事新報』の報じるところでは、
 同紙はこの問題をめぐって学習院と何度も交渉し、
 賞品を返還すればヒロ子の在学を認めるという学習院側の言葉を信じていた。
 ところが、最終的に学習院が末弘家に対し、
 ヒロ子が自主的に退学するように勧めたと知って激怒する。
 そして、三月二十九日の四面から六面まで、
 実に二面半にわたって学習院を非難する記事を掲げている。

立候補をしたわけでもなかった本人にとっては、大いに迷惑な話で当惑したはず。
『大阪毎日新聞』は、彼女を学校から追い出したのは女性との嫉妬と指摘。
結局、末弘ヒロ子はその後、野津鎮之助と結婚しました。
野津鎮之助は、日露戦争の功績で侯爵に格上げされた野津道貫の嫡男で、
結婚してすぐに野津道貫が亡くなったため、末弘ヒロ子はまもなく侯爵夫人となる。
この縁談は、末弘ヒロ子に申し訳なく思った乃木希典の斡旋とも言われます。

 しかし、この結婚話をあっせんしたのが乃木だというのは、
 どうやら事実ではなさそうである。
 一九〇八年十月八日付『国民新聞』の野津鎮之助とヒロ子の
 結婚を伝える記事によれば、野津家と末弘家とは同国出身で以前から親しく、
 とくに、ヒロ子の父である小倉市長の末弘直方と野津道貫とは、
 「殆ど骨肉の如く親密」な間柄だということだ。
 しかも、道貫の息子の鎮之助が子供のころから、
 両家の間では「ヒロ子を鎮之助の嫁に」という内約があり、
 鎮之助が砲工学校を卒業した後に、華燭の典を挙げることも決まっていた。
 ところがその矢先に、鎮之助の父の道貫が病気で倒れ、
 容態が思わしくないため、結婚を繰り上げることになったのである。
 一九〇八年十月六日に結婚式が挙げられ、
 野津道貫は二人を病室に呼んで、祝いの言葉を贈っている。
 (黒岩比佐子『明治のお嬢さま』角川選書、2008年)

今見ても美しい末弘ヒロ子、世界でも6位に入賞したほどの美貌でした。
昭和38年(1963年)3月18日に死去、70歳まで生き抜きました。
夫の野津鎮之助は、昭和17(1942)年に亡くなっています。
ちなみに、ヒロ子の姉直子は、建築家の山下啓次郎と結婚し、その孫が山下洋輔。
また、野津家は長男の高光が継ぎ、
長女・美智子は、ヒゲタ醤油社長の濱口久常の妻に、
次女の真佐子は、倉敷レイヨン社長の大原総一郎の妻に、
三女の佐恵子は、京都ダイカスト工業専務の田中秀雄の妻になりました。
さらに、次女の大原真佐子の長女・麗子は、犬養健の長男・犬養康彦と結婚、
次女・泰子は、正田英三郎の次男・正田修(美智子皇后の弟)に嫁いでいるのです。

こんなニュースもありました。
http://whiteplum.blog61.fc2.com/blog-entry-3808.html

余談
再放送の「花子とアン」は昭和13(1938)年、「わろてんか」も昭和14(1939)年。
恋愛なんて書いている場合じゃない、映画もだめ、と戦時体制に。
宇田川満代はペン部隊、風太や芸人たちは慰問団。
ブラックバーン校長も、カナダに帰国してしまう。
でも、花子は子どもたちの美しい夢を、てんは笑いを守りたい。

Tag:女子教育 

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