松崎次平=竹崎土平の機転

徳冨蘆花「黒い眼と茶色の目」、松崎次平=竹崎土平と、
お島叔母さん=矢嶋楫子の娘のお霜さんの来訪が、波紋を呼び起こします。
「亡くなつた奥さんの實家方の勢力ばかり漲つて片隅に小さくなつて居た」、
おいよ婆さん=横井清子、かあやん=寿加も、安堵したようです。
そこに、壽代=(山本)久栄もやってきました。

 此頃女學校に復つて居た壽代さんも來會(きあ)はした。
 又雄さんもイトコの會だと莞爾(にこ)莞爾して、
 かあやんにカステーラの箱を出さした。
 壽代さんがカステーラを裁つた。
 次平さんが早速裁り様が不公平だと哂(わら)つた。
 壽代さんは薄刃を控へて、
 『不公平? 其様な事はありませんわ』
 と色氣を含んだ流眸(ながしめ)にぢろりと次平さんの顏を見た。
 お霜さんは直ぐ去つたが、
 次平さんは四月から協志社の豫備校に入るときまつて、
 能勢家に腰を据ゑた。
 李子(をとご)に生れて、元來薄ぼんやりの敬荷に引易へ、
 次平さんは氣が利いてよく働き、一同に重寶がられた。
 叔母さんの介抱、お節ちやんの守も上手にした。
 おいよ婆さん、かあやんの壁訴訟も我慢して聞いた。
 多くの弟妹をもつ彼は、赤兒すら巧くあやした。
 おくら婆さんは殊に彼を贔屓にして
 次平さん次平さんと二無い者に可愛がつた。
 可愛がられた次平さんは直ぐおくらさんの家の人々とも懇意になつて、
 心安く出入りし、何時しかおくらさんの手足の様になつて了ふた。
 最初機轉が利くと次平さんを誉めてたかあやんもついに苦笑して、
 『矢張違ふ』と面と向つて今度は敬二を誉めた。

カステラをめぐる出会いのシーンから、次平=竹崎土平は積極的。
敬二=徳冨蘆花にしてみれば、壽代=久栄の「色氣を含んだ流眸」も気になる。
問題児の次平=竹崎土平は、一方で、機転がきく、なかなかのやり手で、
介護も子守りも上手、能勢家=横井(伊勢)家に入り込むのです。
家を仕切る、おくら婆さん=窪田うら(新島八重の姉)も、彼を気に入りました。
そうなると、最初は褒めていたかあやん=寿加が、
一転して敬二=徳冨蘆花を持ち上げるようになるのも、あやにくな関係構造。

 次平さんの眼は直ぐ壽代さんに注がれずには居なかつた。
 くんと鼻を鳴らして『才子の様だな』と言つたのを口きりに、
 次平さんは根ほり葉ほり壽代さんの事を敬二に問ふた。
 敬二は知る限りを答へなくてはならなかつた。
 然し彼は片貝君に話す様な事を、一句も次平さんには云はなかつた。
 (『徳冨蘆花集 第11巻』日本図書センター、1999年)

恐れていたように、次平=竹崎土平は、やはり壽代=久栄に関心を示しました。
その興味を隠そうともせずに、「根ほり葉ほり」聞き出そうとし、
敬二=徳冨蘆花は、「知る限り」を答えつつ、それでも、
親しい片貝=磯貝由太郎(雲峰)に話すようなことまでは、口にしなかった。

余談
「半分、青い。」、第4回のはじめから、ナレーションは死んでしまった祖母に。
1980年、鈴愛が糸電話を使って、三途の川の向こうの祖母と、
こちらの祖父をつなげてあげたいと思う、その発想がおもしろい。
(マグマ大使が時代考証的におかしい、と指摘されているけど、
祖母の語りだから、鈴愛が見たことがなくてもいいのか、今後わかるかも。
それに、2018年から振り返る、漠然とした「あの頃」だから、誤差は許容範囲。)
母の晴(ああ、お天気)が腎臓が悪く、一瞬だけど、生まない選択もあった。
だから、生と死の境界がどこかゆるりとしているのかもしれない。
一方で、律は、永久機関を作りたいと言う。
おやつが、パンの耳を揚げたやつとシフォンケーキとか、格差もある。
律が喘息で変わり者だから、鈴愛みたいな友だちがいると助かる、と和子。
川をまたぐ糸電話も、発案者は鈴愛で、完成させたのは律。
鈴愛はアイデア・ひらめきの人、律は計画性・技術の人なのかな。
同じ日に同じ産院で生まれた2人は、半分と半分。
しかし、テンポがよくって明るいし、面白い。
ヒットメーカーの北川悦吏子さんの底力と引き出しの多さに感動、ふぎょぎょ!

Tag:山本久栄 

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