「阿父は?」「阿母は?」

徳冨蘆花「黒い眼と茶色の目」、お島叔母さん=矢嶋楫子が出立する夜には、
「家族のあつまり」をして、壽代=(山本)久栄もやってきます。

 お島叔母さんが出立の夜は、
 能勢の叔母さんの病床の傍で、家族のあつまりをした。
 壽代さんも來て居た。
 あつまり果てゝお節ちやんが人形を持ち出した。
 『お節ちやん。好いお人形ね。阿父は?』とお島叔母さんが愛想を云ふた。
 お節ちやんは突と敬二の袖を捉へ『阿父はこれ』と云ふた。
 『阿母は?』と黑田のおくらさんがきいた。
 お節ちやんが默つて居るので、
 おくらさんは『ね、ね、阿母は?』と執念深く問ひつめた。
 敬二は胸をどきつかせて居たが、
 お節ちやんは到頭分からぬ返事をして了ふた。
 敬二は次平さんと叔母さんを七條まで見送つた。
 (『徳冨蘆花集 第11巻』日本図書センター、1999年)

この「家族のあつまり」に、例の黑田のおくら=窪田うらも同席しています。
(新島八重がここにいなかったのか、気になりますが……。)
彼女がいることは、病床の能勢の叔母さん=横井津世子などは不満だったかも。
しかも、母親(お稲=みね)と死別したばかりのお節ちゃん=悦子に対して、
「阿母は?」と「執念深く」問うのも、どこか無神経なようにも思われます。
案の定、お節ちやん=悦子は答えられませんでした。
お節ちゃん=悦子は、「阿父」に選ぶほど、敬二=徳冨蘆花を慕っていたらしい。
伝道旅行などでも多忙な又雄=横井(伊勢)時雄は、影が薄いのか。
敬二=徳冨蘆花が「胸をどきつかせて居た」のは、お節ちゃん=悦子が、
「阿母」に壽代=久栄を選ぶのではないか、と期待したからでしょうか。

Tag:山本久栄 

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