梅の枝を折る次平=土平

徳冨蘆花「黒い眼と茶色の目」、壽代=久栄をめぐる恋の物語が本格化。
壽代=久栄を送る途中、次平=土平は「御苑」の梅の枝を折りました。

 『一寸待つがえゝ』
 次平さんは聲かけて、御苑の埒を跨いだ容子である。
 やがてめりめりと枝をへし折る音がした。
 敬二ははらはらした。
 此處に八重紅梅の如何にも美しく咲いたのがあつて、
 制札(せいさつ)が立つて居た事は、晝間通る時見て置いた。
 それを次平さんは攀(よ)ぢ上つて折つたのである。
 『みやげに持つて往くがえゝ』
 次平さんは云つて、佳い馨(にほひ)のする枝を敬二に握らせた。
 而(さう)して別を告げて引返へした。
 他人の道ならぬ勇氣の賜物を阿容(おめ)阿容貰ひ受けて、
 敬二は闇の御所路を歩いた。
 
あら、次平=土平は折った枝を、壽代=久栄にではなく、敬二=徳冨蘆花に。
この梅の枝は、壽代=久栄の喩でしょうか。
敬二=徳冨蘆花は、新田計次郎という少年を思い出します。

 彼は十二の昔、同級で二つ年上の大蟇(おほがま)の顏をした
 美濃の新田計次郎と云ふ少年が、敬二の小氣を笑ひつゝ紫の雲を擁する
 禁苑の棟(せんだん)の枝を眞晝中にへし折つてくれたことを
 憶(おも)ひ出でずに居られなかつた。
 締つた門を乗越えて、
 まだランプのついて居る片貝君の室の硝子をほとほとたたくと、
 戸をあけて眼と鼻を撲(う)つ佳い色香に、正直な片貝君はぎよつとして、
 『御所から盗んで來やがつたな。君かーー從弟(カズン)だらう』
 と云ふた。
 よく協志社にやつて來るので、次平さんの顏は、
 最早敬二の周圍に識(し)られて居た。
 (『徳冨蘆花集 第11巻』日本図書センター、1999年)

敬二=徳冨蘆花は、自身の「小氣」を笑った新田計次郎を想起しつつ、
今また、「小氣」であることを気に病んでいるのかもしれない。
「御苑」から梅の枝を折ったのが誰か、片貝=磯貝由太郎は見抜いています。

余談
「半分、青い。」、子どもたちの社会の描き方、人物造型がいいな。
話にだけ出てくるマナちゃん、いつか登場するのかな。
「律は、鈴愛ちゃんのおかげで、夢を語る相手ができたと思っています」
喘息があり、頭はいいけど難しい子の律は、鈴愛に助けられている。
鈴愛にマグマ大使みたいな英雄にしてもらって、頼られることが、律の自信。
ブッチャーも、スーパーカーをもらわない律だけが友だち。
賢い律も、ガキ大将みたいなブッチャーも、友だちをつくるのが難しい。
天に昇ってしまったかぐや姫(のテスト問題)、死んでしまったおばあちゃん。
せいせいした、をあえて選択した律の思いは、今後出てくる?
洗濯している匂いでなく、ぬか漬けや油の匂いは、働くお母さんの匂いだろう。
パーマかけたらゴアの晴さん、ゴアのものまねが十八番の和子も対比。
お母ちゃんが付けた名前をからかわれたとは、言えない鈴愛。
マーブルマシーンの音がうるさくなかったのは、めまい同様、もう耳に異変か。
「鈴愛は思ったまんまだから、そこが、いいとこだから」
「律くんみたいな子が友だちで、鈴愛は幸せやね」
律は、鈴愛の英雄だから、喘息で苦しんでいるところを見られたくない。
遠くから呼んでもわからない鈴愛が、遠くから笛を吹いて呼ぶ律。
お小遣いでグルグル定規を買う草太、耳栓をして体験してみる律……。
聞こえなくても、言いたいことは、「以心伝心」でわかる。
舟に乗った鈴愛、あの川こそ、三途の川のイメージではないだろうか。
朝ドラのお父さんはダメ父が多いけど、宇太郎はちがうな、おじいちゃんもいい。
以心伝心でマグマ大使の笛も聞こえる律、でも、小人の音は共有できない。
家族には一粒の涙も見せない鈴愛は、律には(川の岸辺で)見せる。
鈴愛の右側に移動する律の優しさ(子役の男の子が宇野昌磨っぽい)。
「1980年、9歳になった秋、私は、左耳の聴力をなくした。
私の世界は、半分になった。私は、生き物として弱くなった。
両方の耳で音を聞いているとき、世界は、力強くたくましかった。
しっかり、そこにあった。今は、何の音もかぼそく、頼りない。
足元がぐらぐらした。心許なかった。
でも、本能が生きようとした。世界を楽しもうとしていた」
嫌な女になって笑えないときもある(「わろてんか」、ここが弱かったと思う)。
「鈴愛の左側、楽しいね」
「鈴愛の左側は、いつだって晴れやね」
「俺があいつより一足先に生まれたのは、あいつを守るためだったかなあって」
永野芽郁さん、佐藤健さんの登場で、一瞬で少女漫画的な世界に一変。
いや、第2週まで見てきて、朝ドラの中でピカイチな気がする。
「西郷どん」、たとえ武士でも、はじめて人を斬ったことに動揺するのが、
本作の吉之助なのだなあ、ここからどう変わるのか、と思います。
これから幕末の動乱で多くの血が流される、そのはじめに。

Tag:山本久栄 

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