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敬二=徳冨蘆花の「凱歌」

徳冨蘆花「黒い眼と茶色の目」、壽代=久栄は自分と結婚したいと思っている。
次平=土平の思いがけない話に、敬二=徳冨蘆花はやはり嬉しい。

 敬二は胸がすく様に覺えた。
 彼は先日來の壽代さんの態度を解しかねたが、
 道程は兎に角結末はかうなくてはならぬ。
 去年の夏以來一年近くも識り合ふた仲である。
 敬二は九死の中から一生を得た者の様に、
 心中に凱歌を擧げずに居られなかつた。
 然し敬二は少しも其様な素振りを見せなかつた。
 次平さんに對し多少氣の毒にもなつた。
 此位の勝利で、危険な位置から退いて了はうとも思つた。
 
これが敬二=徳冨蘆花らしさと言おうか、上から目線で次平=土平を思いやり、
その上で、「此位の勝利で、危険な位置から退いて了はう」と思う。

 『そりばつてん、彼女アあゝたと隨分親密にしとつたらうが』
 敬二は此方から話し出した。
 二人の話は何時も郷語(くにことば)でした。
 『そら壽代も俺(わアレ)を嫌ふちや居らん』
 次平さんは臆面もなく答へた。
 『すンなら、一つあゝた説いて見るがえゝ。
 俺にやあぎやん才子は向かん。あゝたとなら好配偶たい』
 ジヨン・アルデンが甲比丹スタンデツシユに
 プリスシラを口説く術を敎へでもする様に、
 敬二は次平さんを嗾(おだ)てゝ壽代さんを彼に薦めた。
 次平さんは悉皆(すつかり)乗地になつた。
 荒神口の門を入る頃は、
 最早此方の有(もの)と云ふ顏に次平さんはなつて居た。
 (『徳冨蘆花集 第11巻』日本図書センター、1999年)

臆病な敬二=徳冨蘆花も、すぐに気を取り直す次平=土平も……。
壽代=久栄の自分に対する好意を知ったからこそ、従弟をけしかけるのです。
そして、能勢家=横井(伊勢)家ではまた、意外なことが起こります。

Tag:山本久栄 

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