突然の縁談

徳冨蘆花「黒い眼と茶色の目」、敬二=徳冨蘆花の恋は急展開を迎えます。
壽代=久栄が結婚してもいいと思っているのは、敬二=徳冨蘆花。
しかし、能天気な次平=土平は敬二=徳冨蘆花に乗せられ、気を取り直します。
折しも、能勢家=横井(伊勢)家には壽代=久栄が来ていました。

 壽代さんが來て居た。
 次平さんは直ぐ壽代さんと玄關傍の四疊に入つた。
 敬二は叔母さんの病室に入つた。
 叔母さんは莞爾(にこ)莞爾して居た。
 要事と云ふのは、何でもなかつた。
 叔母さんや赤ン坊を親切に見てくれる女醫のバアクレー夫人に、
 誰やら見舞に持て來た
 吉野櫻と碧桃の花を持て往つてくれと云ふのであつた。
 敬二は歸りかげに花を持て往く旨を答へた。
 少し話して、敬二は次の六疊に出た。
 おくらさんが赤ン坊を抱いて搖(ゆす)りながら立つて居た。
 次平さんは壽代さんに近づいて以來
 おくらさんの覺が少しめでたくなくなつて居た。
 又雄さんの甥、協志社でも評判の好い學生として、
 おくらさんは從來敬二を疎略にはしなかつた。
 ある時おくらさんが室に入つて來るより早く
 敬二が安樂椅子を立つてすゝめた以來、
 別(わ)けて敬二に好意があるかの様に見えた。

次平=土平が寮まで迎えにやってきたのは、叔母さん=横井津世子の用事。
それは、生まれたばかりの慶馬=平馬の世話をしてくれる、
「女醫のバアクレー夫人」に「吉野櫻と碧桃の花を持て往つてくれ」、というもの。
河野仁昭『蘆花の青春 その京都時代』(恒文社、1989年)によれば、
その「バアクレー夫人」とは、S・C・バックリーという女医。
夫であるE・バックリーは、同志社神学校の教授であったとか。
明治20(1887)年に開校した、同志社看病婦学校の無給の女医でした。
今や能勢家=横井(伊勢)家を牛耳る、おくら=窪田うらの「子分」だったはずが、
壽代=久栄に接近する中で警戒され、「覺が少しめでたくなくなつて居た」。
それに反比例して、敬二=徳冨蘆花は大事にされていたという。

 敬二が伯母さんの病床から退つて來ると、
 おくらさんは敬二に椅子を與へて、話をはじめた。
 話がおくらさんの家族に及ぶと、
 おくらさんは突然(だしぬけ)に敬二の顏を見て、
 『勝枝貰つておくれやすか』
 と云ふた。敬二は呆氣(あつけ)にとられたが、
 『勝枝さんは十二でしたね』
 と話を流した。
 (『徳冨蘆花集 第11巻』日本図書センター、1999年)

本当に「突然」のこと、おくら=窪田うらから縁談が提案されたのです。
まだ12歳だという勝枝は、おくら=窪田うらの孫娘でした。

余談
「半分、青い」、トレンディドラマの北川悦吏子さんの脚本ということで、
当初はネガティヴだった人たちにも、評価が高い模様で、関係ない私も嬉しい。
一時代を築いたヒットメーカーの底力、朝ドラへの対応力。
再放送の「マッサン」、あれこれ忘れてしまっているな、という感じ。
総合テレビの再放送の「カーネーション」は初見、評価が高いのがわかる。
実物を作って行け、着て行け、とアドバイスするお父ちゃん、すごい。
これが先にあった分、「べっぴんさん」は最初から不利だったなと思います。
「正義のセ」、「被害を受けた方だけではなく、加害者側にも人生があります。
罪を償った後の人生が」というセリフが、何だか妙にタイムリー。

Tag:山本久栄 

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