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「妾豈松崎氏ノ色欲ニヨリテノ誘惑ニランヤ」

徳冨蘆花「黒い眼と茶色の目」、壽代=久栄からの返信には、
敬二=徳冨蘆花の「質問狀」に対する回答が、綴られていました。

 敬二は少し離れて、壽代さんの最初の手紙を披いた。
 筆記でもする様な子供らしい然し達者な字で、
 半紙に片假名まじりに書いてある。
 又雄さんの後妻云々の件は、無根の事ではないが、
 今は別に其様な話もなく、自分の意志でもないと云ふ事、
 又江見の太郎さんも色々云つた
 (敬二はあの髯男が壽代さんの手を無手(むず)と握つたことを思ひ出した)が、
 自分は少しも頓着せぬ事、次平さんとは
 能勢家の親戚且は敬二の親友と云ふので交際したので別意ない事を書き、
 『此手紙ハ艶書ニアラザレバ、何人ニ見ラレテモ恥カシク無之(これなく)」
 と書いてあつた。

これまで指摘されてきた、壽代=久栄の男女問題に対する、答えです。
壽代=久栄によれば、亡くなった姉のお稲=おみねの夫である、
又雄=時雄の後妻になる、という話は確かにあったものの、
自分の意志でなく、もはや頓挫した話であること。
江見太郎=海老名一郎(海老名弾正の弟)が、「色々云つた」とは、
その後妻になる件に関して意見した、ということか。
敬二=徳冨蘆花が目撃した衝撃シーンは、その話をしていたとき?
次平=土平にいたっては、親しくしていたのは、
能勢家=横井(伊勢)家の親戚であり、敬二=徳冨蘆花の親友だから。
この手紙は「艶書」ではないので、誰に見られても構わない、と毅然と書く。

 窃(そつ)と肩から覗いて居た次平さんは、
 『妾豈松崎氏ノ色欲ニヨリテノ誘惑ニランヤ』
 とある句を見つけて、眼に角を立てた。
 敬二は次平さんを慰めて、
 自分辯護に人を誣(し)ひるが彼女の癖だと云つた。
 (『徳冨蘆花集 第11巻』日本図書センター、1999年)

どうして私が松崎=竹崎(土平)の「誘惑」に落ちるだろうか、否、落ちない。
次平=土平もさすがに、「眼に角を立てる」のでした。
それにしても、壽代=久栄は「自分辯護に人を誣(し)ひる」のが「癖」?
この小説のヒロインは、けなされてばかり。

Tag:山本久栄 

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