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「惡魔にかゝらんごつ用心なはりよ」

徳冨蘆花「黒い眼と茶色の目」、約束の通り、敬二=徳冨蘆花は、
土曜日、荒神口の能勢家=横井(伊勢)家に壽代=久栄を訪ねます。
すでに次平=土平により、2人の「破約」のことは知れ渡っていたのでした。

 土曜日に敬二は荒神口に往つた。
 能勢家では、叔母さんと子供を除く外皆
 約束と破約(次平さんは破約濟の吹聽をして居た)の顛末を知つて居て、
 妙な顏を敬二に見せた。
 かあやんは勝手元で聲を潜めてしみじみと、
 『本當にな、惡魔にかゝらんごつ用心なはりよ』
 と敬二に言ふた。
 又雄さんの姿は見えなかつた。
 奥に來て居た飯島先生は、
 敬二が笑止な顏をして小さくなつて居ると云つて、
 夫人と顏見合はせて含笑んで居た、とおくら婆さんが後で敬二に告げた。
 おくらさんは敬二の顏を穴のあく程見て、
 姪が油斷のならぬ女である事、女學校の嫌疑一條の話をして、
 『年齢がいかんかて凄い女だつせ。
 次平さんをまるめた手際なンか、
 聞いてゝそりやびつくらする程巧いもんだつせーー
 皆、敬さん、あんたの橋渡しにしたのや』
 とにやり笑ふた。
 (『徳冨蘆花集 第11巻』日本図書センター、1999年)

この日、飯島先生=新島襄とその夫人=八重も来合わせていました。
かあやん=寿賀も、どうやら「破約」に賛成のようです。
かあやん=寿賀は、壽代=久栄を「惡魔」とまで言っています。
そういう意味では、女たちはすっかり一枚岩の様子?
おくら=窪田うらも、自身の姪である壽代=久栄は、
「油斷のならぬ女」であって、「嫌疑」も事実であると話したらしく、
男をまるめこむ手練手管をもち、「凄い女」であると話す。
飯島先生=新島襄と夫人=八重が、どういう意見であるのかは、
ここではまだ、語られていません。
敬二=徳冨蘆花の「笑止な顏をして小さくなつて居る」のを笑っているだけ。
おくら=窪田うらが、「年齢がいかんかて」と言っている背景には、
壽代=久栄の母であり、不祥事を起こして離縁した時代=時栄の影がちらほら。
あの女の娘だから、といった視線を感じてしまいます。
同時に、史実の時栄の「不祥事」は小説に引っ張られている疑いも感じます。

Tag:山本久栄 

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